こんにちは、現役介護士のおもちと申します。
介護の専門学校で介護福祉士を取得し、従来型とユニット型の特別養護老人ホームの勤務経験があります。
介護士歴は、12年目になります。
現在は、育児とお仕事(介護士)の両立をしています。
このブログは、ご家族の方が介護が必要になってどうしたら良いかと思っている方・介護のお仕事に興味のある方・現在介護士として働いている方に向けて書いています。
少しでも役立つ情報や、共感して気持ちが楽になる事などがあると嬉しいです。
この記事では私が実際に特養で働いて感じた、お年寄りが施設に入る事でのメリットやデメリットをお伝えします。
例えば自分のおじいちゃんおばあちゃんが施設に入る事になった方や、施設に入ってもらう事を迷っている方等いらっしゃると思います。
「施設に入れるなんて、かわいそう」・「もう少し無理してでも、家でみないと」等色々な気持ちになられているのではないでしょうか。
もやもやとした気持ちがある方や、施設に対していいイメージがつかない方にも参考になると嬉しいです。
施設ってどんなところ?
お年寄りが利用する施設と言っても施設によって色々な特性があります。
大まかにお伝えすると⇩
◉特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は基本的に※要介護度3~の方が対象となります。
生活全般(食事・排せつ・入浴等)の介護を受けられ、看取り(最期を迎える)をしている施設も多くあります。
◉老人保健施設はリハビリ中心の介護施設です。特養とは違い、原則3か月で退居をして自宅復帰が目標となります。
※要介護度とは、介護保険サービスを受けるにあたり、要支援・要介護の認定を受けなくてはなりません。要支援1~2、要介護1~5段階でお年寄りの状況を見て認定を受けます。
施設に入居される以外にも日中帯に通うデイサービスや、施設に何泊かお泊りするショートステイ、自宅に介護士が来る訪問介護(訪問入浴)等もあります。
お年寄りの状態や、ご家族の状況によってご利用する施設は違ってきます。
※今回は特養に入居された場合のお話をしていきます。
メリット(お年寄り・ご家族にとって)
【お年寄りにとってのメリット】
1.介護士が日常生活をケア
2.看護師が体調面を把握
3.栄養士が食事面を管理
4.他の同年代の人と過ごせる(最期を1人で迎えない)
5.季節ごとの行事がある
上記の事を簡単にお伝えしていきます。
1.介護士が日常生活をケア
お年寄りになると、若い頃と違い出来ない事も増えてきます。
施設では歩くのが難しくなってきたり、自分でトイレに行く事が難しくなってきたり、生活をしていく上で不自由なところを福祉用具(車いす等)等も使用しで出来るだけ今ある力を生かしていけるように、介護士がケアをしていきます。
また認知症の方の対応もしており、その方が少しでも穏やかに過ごせるように工夫しています( ´∀` )
※福祉用具に関しては、機能訓練担当の職員がいるので連携して対応していきます。
2.看護師が体調面を把握
特養では日中帯に看護師は勤務しています。
お年寄りの既往歴や、身体状況を把握してくれて定期的に来る外部の先生との連携をとってくれます。
救急対応等の場合にも対応してくれるので、体調面で心配な事は相談も出来ます。
少し心配な事があったら病院に相談していた事が、身近で見てくれる人がいるのは安心しますね( ´∀` )
3.栄養士が食事面を管理
糖尿病や塩分制限等がある方の食事内容も管理しています。
また、食事の形や固さ等も工夫して作られています( ´∀` )
毎食栄養バランスの整った食事や、定期的な飲み込みの検査等も行います。
お年寄りにとって※誤嚥性肺炎は怖いものなので飲み込みの力の衰えている方は検査が必要です。
※誤嚥性肺炎とは、飲み込む力が衰える事で、口から食道に入らないといけない物が気管に入ってしまい、肺の中で炎症を起こしてしまう事。
4.他の同年代の人と過ごせる(最期を1人で迎えない)
家で過ごしている時には、外に出る事がおっくうになったりすることも多いと思います。
施設では他のお年寄りの方と仲良くなったりする方も多くいます(男性はマイペースに一人で過ごされている方が多いです)
お話をしたり、日常で行われているレクに一緒に参加したりと他の方と関わる機会も多くあります。
また、最期の時ですが看取り期に入ると職員もこまめに訪室したり仲の良かった方が訪室したりします。
なので、お一人で暮らされている方よりも亡くなる時に人が近くにいられる可能性が高いのかなと思いました。
(もちろん、ずっと近くにいるわけではないので訪室した時にはすでに亡くなっていたという事もありますが、、、)
5.季節の行事がある
施設ごとに違うと思いますが、お正月には近くの神社にお参りに行ったり夏にはスイカ割や花火等をしたりと季節の行事を企画しています。
また、食事面でも出前の日があったり、お誕生日のお祝いがあったりします。
施設の車で移動する事もあるので、そこは季節事に楽しみがあったりすると思います。
皆でわいわいするのが好きな方はとても楽しまれている様子が見られています。
逆にそういった行事が苦手な方は参加されなかったりするので、選択肢があって好きなように選べるのは良いですね( ´∀` )
【ご家族にとってのメリット】
1.介護士が専門的な視点で、日常のケアに入る
2.自分の時間が持てる
3.好きな時に会いに行ける
1.介護士が専門的な視点で、日常のケアに入る
介護現場では介護の勉強をしてきた人や、資格はなくても現場で学んで経験のある人等がいます。
知識があるうえでケアをすると、関わり方やケアがより良いものになると思います。
ご家族の方が心配な事は介護士に聞いた方がいいですし、してほしい事は相談といいう形で伝えてもいいと思います。
(してほしい事を伝えても、難しい場合もあるかと思いますが相談するのは全然いいと思います)
またご自宅で介護されていた方は、今までの家での生活をどこまで施設で実現してくれるのか等心配もあるかと思います。
もちろん1対1ではないので、難しい場合もあるかと思いますがご本人の意向等も含めて施設の職員と相談しながら、施設での馴染みある生活リズムを作る事が出来るといいと思います。
2.自分の時間が持てる
お年寄りと一緒に暮らしている場合には、24時間介護の事を考えてしまうと思います。
お年寄りの日常のケアや食事等もサポートしていたり、夜間ももしかしたらトイレのお手伝いをしている方もいるかもしれません(;´∀`)
お年寄りが施設に入ると、その分は自分の時間にあてる事が出来ます。
「自分の時間を持つなんて、申し訳ない」等と思ってしまうかもしれませんが、お年寄りがいくら大事な人でも24時間365日介護をする事はできません。
その状況は、ご家族の方の体や気持ちを疲れさせてしまう場合もあると思います。
(もちろんデイサービスやショートステイで、少しほっと出来る時間のある方は違うかもしれませんが)
ご家族の方も自分自身の時間も大事にした方が気持ちに余裕が出来ますし、お年寄りにとってもいい事だと思います。
3.好きな時に会いに行ける
施設に入ったからといって、施設に全部お任せという訳ではないです。
施設とご家族の方が協力して、お年寄りの生活を支えていきます。
自分の好きな時に会いに行く事で、ご家族の方も余裕をもって接する事が出来ると思います。
(お年寄りが認知症の場合は、ずっと一緒にいるとなかなか受け答えが出来なかったり、同じ話しを何度もしたり、、その変化を辛く感じる事もあると思うので、、、)
デメリット(お年寄り・ご家族にとって)
【お年寄りにとってのデメリット】
1.気軽な外出が難しい
2.施設内に相性の合わない方がいる場合もある
3.体力が低下する場合が多い
4.自分のペースで生活出来ない事がある
1.気軽な外出が難しい
外出時には職員やご家族の付き添いがなければ外出はできなくなります。
万が一行方不明になってしまわれたり、事故に合ってしまったり等危険があるからです。
今ちょっと外に出たい等の時は、職員がお散歩に付き添ったりする事もありますが、職員人数も限られているので出来る時と出来ない時があります。
そういう時にはベランダに出るだけでも「風が気持ちいいね」「ベランダ少し歩くと違うね」と仰るお年寄りもいます。
また事前に伝えれば、ご家族協力のもとご自宅へ外泊される方もいます(介護面はご家族の方が対応)
2.施設内に相性の合わない方がいる場合もある
施設にはお年寄りといっても、認知症の方がいたり片麻痺の方がいたりと色々な病気の方もいます。
少数ですが入居されているお年寄りの中には、認知症のある方に対して「あの人また同じ事言ってる」・「なんで急に叫ぶのかしら」等と仰る方もいます。
あまりに周りの方の事が気になりすぎると、なかなか休む空間にはなりづらいように思います。
職員も状況を見て、食事席を変えたり、居室内移動を検討したりと対応はしています。
どこにでも合う人、合わない人はいるかと思いますが難しいですね(;´∀`)
3.体力が低下する場合が多い
ご自宅では好きな時に外に出ていたり、家事をしたりとやる事もあって動く機会も多かったかと思います。
ただ施設に入ると、家事はないですし、出来ない事に関しては介護士がサポートもします。
お一人で暮らされていた方やご自宅でご家族の方と暮らしていた方の中には、体力が落ちる方もいます。
(施設に入って運動量が減ったのと、ご自宅では”自分でもやらないと”と気が張っていたのが緩んだのもあるのかなと職員同士で話していた事もあります)
4.自分のペースで生活出来ない事がある
他のお年寄りの方もいるので、自分の希望しているタイミングにすぐに介護士が来れるわけではありません(;´∀`)
待つ事が苦手な方は、慣れるまで少し辛いかもしれませんが、、、(;´∀`)
また、食事提供時間も決まっています(作ってから、何時間以内には下げる等。衛生上の問題で)
自分の好きなタイミングで食事がなかなか難しいかもしれません。
(施設によっては、食べ物の持ち込み可能であったりするので状況によりますが(;´∀`))
【ご家族にとってのデメリット】
1.お金がかかる場合がある
2.周りの目が気になる場合がある
3.お年寄りがとられてしまった感覚になる場合がある
1.お金がかかる場合がある
お金に関しては、1番悩みの種になるかもしれません。
どんな施設に入られるかで金額は違いますし、個室や多床室かでも違います。
施設利用料以外にも、消耗品(ポリデントや衣類等)・余暇支援(出前や生け花等)は個人負担になります。
実際に、施設利用料が払えず滞納してしまわれた方で施設を移られた方もいます、、、
施設選びでは理想は高くなってしまいますが、お年寄りがどの施設が合っているか選ぶのと同時に金額面もしっかりと確認した方がいいと思います。
(お年寄りの年金内で施設利用は納まるのか、出せない場合には兄弟でいくらなら出し合えるのか等)
2.周りの目が気になる場合がある
施設にいい印象をもっていない方や、家でみるのが当たり前という考えの方もいらっしゃいます。
その方たちが親戚にいたりすると、責められてしまう場合もあるかもしれません、、、
また自分の大事な両親を施設に預ける事で罪悪感や、自分が面倒みたいのにみれない等の悩みもあるかもしれません。
とにかく私自身は、介護をする側が倒れてしまってはもともこもないという考えです。
介護をするために介護離職も素晴らしい選択ですが、金銭面で辛くなる時は来ますしお年寄りが亡くなってからもご家族の生活は続きます。
周りの目や自分の気持ちもあると思いますが、まずは施設という場所を理解していただき、選択肢のひとつとして見ていればまた違うのではないかと思います。
とにかく周りの目よりも、お年寄りの事やご家族の方自身の事を考えて両者に良いように考えてほしいです。
3.お年寄りが遠くにいってしまった感覚になる場合がある
一生懸命お年寄りの介護をされていた方にとっては、お年寄りと離れるのは少し寂しい方もいるかもしれません。
また施設の生活に慣れてきてよかったと思う反面、ご自宅で一緒に過ごされていない事から寂しい気持ちになったり、遠くにいってしまった気持ちになる方もいるかもしれません。
施設では、お年寄りの事を施設・ご家族の方とで支えたいと考えているところがほとんどだと思います。
本当に寂しかったら、面会にも来られますしご自宅への外泊も出来ます。
少しでも、寂しい気持ちがなくなるといいです(´;ω;`)
まとめ
お年寄りにとってどんな生活がいいのか、介護するご家族にとってどんな生活がいいのか、お金はどうするのか最期はどこで看取るのか等悩みは尽きないと思います。
お年寄りの方の希望は大切です。
それと同じくらいにご家族の方々の生活も大切です。
介護する側が倒れてしまうまで頑張る必要はないし、そこまで頑張ってはいけないと思います。
そうならない為にも、お年寄りをケアする介護士はいます。
お年寄りも、自分のせいで大事な家族が苦しんだり倒れたりするまで頑張る事を望んでいないと思います。
信頼できる施設でお年寄りが安心して過ごせて、ご家族の方も安心してご自身の生活を送れるようになると1番いいのですが( ´∀` )
在宅で介護されている方も、出来るのであればデーサービスやショートステイを利用すると自分の時間が持てたり少しほっとする時間が持てて気持ちに余裕ができると思います。
これを読む事で少しでも施設に対してのイメージが出来たり、介護する側の方の気持ちが楽になって頂けると嬉しいです。
最期まで読んで頂きありがとうございました。
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